ミストラルコスメティクス
肌を変える洗顔と「守り」&「攻め」のスキンケア
ミストラル関連

酒さ・赤ら顔を理解し治し隊

多くの人が悩み・そして誤診もめっちゃ多くて治療をこじらせる事が多い酒さ・赤ら顔の話。

皮膚科学会でのお話やミストラルへの相談をふまえて備忘録的にまとめておきます。
酒さ・赤ら顔に悩む方がなるべく遠回りせずに改善できるように役立てて頂けましたら幸いです。

もしかして・・・これは酒さ?

酒さの定義

「顔面の中央部の紅斑を特徴とする慢性炎症疾患」

わかりやすい言葉でいうと

「顔のでっぱった部分が赤かったり、ブツブツができている」

で、30代~50代の女性に多く、遺伝的要素として色白の方に多いとされています。

もう少しかみ砕いてみます(※4型分類はここでは触れません。)

とにかく顔が”ずっと”赤い・ほてり・ひりつきがある

”いついかなる時も”赤い
毛細血管が透けて見えて赤い
いつも熱をもった感じがある・ヒリヒリする
目の周りが赤い・充血もある
ちょっとむくんだ感じがある←結構大事

ニキビと診断されニキビ治療をしているが改善しない

ふくらみ・凸凹・ブツブツした皮疹・膿・赤みが顔の中心部・でっぱった部分に出ている
吹き出物に一致してめんぽう(皮脂が詰まった白いプツプツ)がある場合はニキビと考える

アトピーと診断され、ステロイド・プロトピック(タクロリムス)治療しているが改善しない

日本ではステロイド使用により酒さが発症・悪化したものを「酒さ様皮膚炎」と呼ぶ事があるが、本来酒さ様皮膚炎は口囲皮膚炎の発展型であり、混乱を招いている

ステロイド酒さと呼ぶべき!

肌質

乾燥している場合もあれば脂漏性皮膚炎を併発している場合もあり。
皮脂量は多くないが水分の蒸散が激しいという説も。
結局のところ肌のバリア機能が低い

遺伝的要因

そもそも遺伝的要素で「酒さ」の素因を持つ人がいる(色白の人が多い)

BTNL2・HLA-DRAにSNP→MHC関連分子
GSTのNULL MUTATION→酸化ストレスに関与する酵素
NOD2/CARD15 遺伝子多型→自然免疫関連分子

多発性硬化症・1型糖尿病・関節リウマチなどの疾患と共通した疾患リスク遺伝子座を持つ

皮膚科の選び方

結論から言うと、アレルギー検査を行っている皮膚科専門医を受診しましょう!

IgE、RAST(MAST36/33,VIEW39)といった一般的な花粉症やダニ・ハウスダストなどのアレルギー検査の他に

検索ワードに

パッチテストパネル
金属アレルギー

を入れて皮膚科を選んでみましょう。
2024年6月からパッチテストパネルと金属アレルギーを同時に検査できるようになりました。
実際私も人柱でパッチテストパネルをやったことがあります。記事はこちら

残念ながら酒さはめーーーーーーちゃくちゃ誤診が多いです。
というのも、実際のところこんなわかりやすい感じの毛細血管型酒さ↓みたいなのだけじゃなく、そもそもの赤みや皮疹が接触皮膚炎・刺激性接触皮膚炎であったり、花粉症やダニ・ハウスダストアレルギーなどを併発していることが多いんです・・・

酒さの人をアレルギー検査すると、化粧品の防腐剤が陽性になる人が多いという話も聞きます。

パッチテストパネルで検査できる化粧品に用いられる防腐剤はパラベン類とチアゾリノン類ですが、パラベンは医薬品にも使われているので、パラベンアレルギーの場合、塗り薬を塗っているのに全くよくならないという悲劇がおきます。

チアゾリノン系の防腐剤はカビに強い事からシャンプー&コンディショナーなどのヘアケアなど、「お風呂で使うことが多い製品」によく配合されています。
わりとアレルギー性が問題になっていますが、まだまだ配合されています。
ちなみに全く治らない手湿疹を調べてみたらこのチアゾリノンアレルギーだったという例もあります(シャンプーを変えて改善)

これは化粧品屋の私からですが、パラベンは確かにアレルギーが起きる方がいらっしゃいます。
ですが、パラベンを使わない代わりに使用される防腐剤(フェノキシエタノール)・または品質保持剤的な多価アルコール類も種類や量によってアレルギー反応が出る方はいらっしゃいます。
ほとんどの化粧品に含まれるBGなんかもアレルギー報告ありますしね。
パラベン類やチアゾリノン類だけを避ければ安全ということではないということは覚えておいてください。

また、蕎麦アレルギーではないのに蕎麦を食べるのを我慢する必要がないのと同様に、アレルギーのない方まで避ける必要はありません。
特にパラベンは少量で幅広い菌に対応できることから医薬品だけでなく多くの化粧品に配合されてきました。
他の防腐剤や防腐助剤をたくさん使うよりも少量のパラベン防腐の方が皮膚刺激が少ないということは実際にありますし、防腐剤そのものよりも防腐不足の害の方がよっぽどヤバイので(最悪失明する)防腐剤とはうまく付き合っていく必要があります。

また、症状によって以下の検査を同時に行う事があるようです。

末梢血液像(好酸球増多の有無)
生化学検査(肝酵素異常・腎機能障害・甲状腺機能障害の有無)
抗核抗体・補体値(膠原病要素の有無)
HIV(好酸球性膿疱性毛包炎)

薬のこと

2024年現在の最新の酒さ治療ガイドライン

A ‌ 行うよう強く推奨する(少なくとも 1 つの有効性を示すレベル I もしくは良質のレベル II のエビデンスがある)

A* ‌ 行うよう推奨する(A に相当する有効性のエビデンスがあるが,副作用などを考慮すると推奨度が劣る)

B ‌ 行うよう推奨する(少なくとも 1 つ以上の有効性を示す質の劣るレベル II か良質のレベル III あるいは非常に良質の IV のエビデンスがある)

C1 ‌ 選択肢の一つとして推奨する(質の劣る III~IV,良質な複数の V,あるいは委員会が認める VI のエビデンスがある)

C2 ‌ 十分な根拠がないので(現時点では)推奨しない(有効のエビデンスがない,あるいは無効であるエビデンスがある)

D ‌ 行わないよう推奨する(無効あるいは有害であることを示す良質のエビデンスがある)

メトロニダゾールが一番新しい外用薬(塗り薬)で、抗菌作用があり、毛包虫(いわゆるニキビダニ)などが原因のブツブツに適用。
効き目がある症候とない症候があり、さらに効果実感にわりと時間がかかる・・・

ちなみにニキビダニは酒さでなくても全員の肌にいます。
全抹殺するものではないし、できません。
ニキビダニの治療は保険適用外のイベルメクチン内服・外用を使う先生もいらっしゃいますので最後に紹介しています。
(2023年の皮膚科学会はニキビダニの話題が多かった・・・)

保湿剤を出す場合 ヒルドイドは禁忌です

血行促進してしまうので赤ら顔が加速します。
(代わりの保湿剤として親水クリームを出している先生もいらっしゃるようです)

当然「ヘパリン類似物質」が入ったスキンケアもすぐにやめてください!!!

漢方

治療ガイドラインではC2だけど、面で効かす・抗炎症が得意な漢方は個人的にはアリではないかと思っています・・・

漢方では「赤=熱がある」とみなして、”オウ●●”みたいな名前の黄色い植物は熱をとるとされており、最近の学会でも黄連解毒湯が話題になっていたし・・・(バイカリンの有用性が検討されている)

また、皮膚科における漢方の権威である野本先生

越婢加朮湯
白虎加人参湯
五苓散
十味敗毒湯
桂枝茯苓丸
柴苓湯

などを組み合わせて処方しているという発表も過去にありました。

日常生活とスキンケア

血行促進・血管拡張を促すような悪化因子はなるべく避ける

*紫外線対策(日光になるべくあたらない)
*激しい寒暖差は避ける
*飲酒や辛い食べ物・チョコレートなどを避ける
*女性用サプリメントでよしとされているものも血行促進系のものが多いので注意
*ヘパリン類似物質の入ったスキンケアは控える
*パッチテストパネルを通してアレルギー反応が出た成分を避けて化粧品を選ぶ
*アゼライン酸が有用な場合もある(血管拡張への効果は初めて)
*バリア機能が不足している場合が多いので、セラミドを意識する(ヒト型である必要はない)
*まずはうちみたいな謎の通販ではなく大手メーカーの敏感肌用化粧品を試す(花王のキュレルや資生堂のイハダなど)

アゼライン酸はガイドラインではC1だけど、C1は「エビデンスはあるけど保険が効かないもの」という意味なので適宜取り入れるのもアリ。

あの・・うちみたいなキワモノメーカーはあんまりオススメはしていないんですけどね、実際実感があったというお声があった現在のミストラルラインナップをご紹介すると

バイカリンの有用性→プラセニスト
アゼライン酸が有するPPAR-α活性化→NF-kB抑制(抗炎症)と同じ機序を持つヒマワリ種子油不けん化物配合→リペアオイル

という感じかなと思います。

日々カウンセリングしていると、赤みが気になるというお悩みでほんとーーーーーーにヘパリン類似物質入りのものを使ってる方が多いので、軽い赤みならそれ辞めるだけである程度改善すると思う。
赤みが気にならない人は別にそのまま使用でok。頭ごなしにダメと言ってるわけではないので、変に拡大解釈しないように。

とにかく私が言いたいのは

ヘパリン類似物質を塗らないで、まずはアレルギー検査をしてくれ・・・!!

という事です。

記事を書く上で参考にさせていただいた先生

酒さ治療と言えばまず山崎先生
Aloop Clinic & Lab:山﨑 研志先生

ニキビ・酒さ治療界のドン
虎の門病院:林 伸和 先生

関西ならここ
はやし皮膚科クリニック:林宏明先生

ニキビダニ・毛包虫系の酒さ治療に強い
目黒 陳皮膚科クリニック:陳 科榮先生

バイカリンの有用性を探求する
九州大学病院皮膚科:中原真希子先生

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